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風レンズ風車技術の開発

大屋 裕二 教授 ( 応用力学研究所 )
烏谷 隆  准教授

中国における灌漑用分散型安定電源として活用するための
 

[ 事業の目的 ]

深刻化する地球環境問題の一面を顕著に現している中国西北部地域の砂漠化の進行を食い止め緑豊かな大地へ戻すため、中国西北部地域の膨大な風力エネルギーを電力資源とした灌漑・緑化事業へ着手。 電力インフラがないこの地域では、容易に移動設置が可能な小型規模の風車が電力取得手段として最適。 そこで提案者のグループによって開発された高効率風レンズ風車(小型風車として世界最高の出力性能を示す)を中国西北地域の風況に適するように改良、改造、大型化する技術開発を行う。 この小型風レンズ風車を多数導入し、灌漑用の機動的ウインドファームを構築して緑化事業への有効性を検討。
 
 

[ 事業の内容 ]

中国の広大な砂漠域の緑化事業の第一歩を踏み出す為、現有の1kW風レンズ風車を見直し、中国西北部の高風速況に適し、かつ容易に移動設置が可能な機動性の高い風車へ改造する。さらにより高い実用性を追求して、ロータ直径2m、定格発電力5kWの風レンズ風車への大型化を行う。 以上のような風レンズ風車に関する新たな技術開発を行い数十台規模で砂漠域にグリッド配置する。 これらを分散型電源のネットワークとして構成し、バッテリー等を用いた電力貯蔵技術と組み合わせてマイクログリッドとしての電力の安定供給を図り、地下水汲み上げ灌漑システムのミニプラントを構築する。 このプラントによって砂漠域の植林・緑化に着手し、その有効性を検証する。
 
共同研究契約 イメージ
 

[ 技術課題及び技術の新規性 ]

中国西北部域における風況を調べ、これに基づく風レンズ風車の耐風評価を見直す。 これより風レンズ風車の強度・構造設計(本体・タワーの強度と構造、基礎強度)を再検討し、容易に移動設置が可能となるより軽量化した風車システムにする。 また、風車の発電は風の強さによって大きく変動する。 この不安定な発電をバッテリーを用いて蓄電し、安定にポンプ等の電気機器に供給するシステムをウインドファーム内のネットワークとして整備する必要がある。 さらに実用性を高めるために風レンズ風車の大型化が必要となるが、集風体を有する風車の風荷重および構造重量の増加、制御技術の変更など技術的問題点を克服し、3kW級風レンズ風車の早急な実現を目指す。
本事業は中国西北部域で高性能風レンズ風車を用いて本格的な電力確保を目指す新しい挑戦的試みである。
風レンズ風車を用いたウインドファームの建設は初めての試みであり、今後需要が増加すると期待される自然エネルギーを利用したマイクログリッドのモデルプラントを目指す。
 
 

[ 期待される成果及び事業実施後の計画 ]

中国西北部域の砂漠化をくいとめ、緑豊かな大地へ蘇らせる最も有効な事業として確立できる。すなわち無尽臓の風力エネルギーを利用して灌漑事業を起こし、植林を行い、砂漠の緑化を進め、地球環境問題の改善に寄与できる。
風力エネルギー有効利用の一つのモデルプロジェクトとなる。
日本で開発された風レンズ風車の利用価値が高まり、用途の拡大に大きな貢献がなされる。
3kW風レンズ風車への大型化に関する技術開発をもとに、より大規模の風レンズ風車(ロータ直径3-12m、出力10kW-100kW)の開発研究を行い、これらを送電網インフラが無い中国の広大な大地へ導入する。
そこで独立分散型電源として得られた電力を、将来、燃料電池などの有効な貯蔵法を組み合わせれば、中国のエネルギー需要にも寄与できると期待される。
また、風レンズ風車ウインドファームがミニ発電プラントとして灌漑事業、緑化事業に効果的であると実証できれば、このプラントの大規模化を計画し、着手しやすい地域から始め、中国の広大な砂漠域を計画的に緑化していく壮大な事業へ発展させていく。
 

このプロジェクトは、経済産業省NEDOのH18-19年度提案公募型開発支援研究協力事業にて実施しました。


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